ParallelsとMicrosoftの密な関係

macOSベースのデスクトップ仮想化ソフトウェアのパイオニアとしてマーケットを牽引し、米国時間2006年6月15日付にて最初のGA版(Parallels Desktop for Mac 2.1)をリリースしたParallels International GmbH(旧SWsoft)だが、その後もmacOSの年次のリリースに堅実に追従しつつ、2024年には区切りのVer. 20(Parallels Desktop 20 for Mac)に到達した。

ビッグカンパニーには分類し難い経営基盤で運営される同社が、この分野で安定したリリースを継続している背景には、代表的なゲストOSであるWindowsを開発、提供するMicrosoftとの親密な関係がある。

主要な人材の交流によって齎された蜜月な関係

両者の蜜月な関係は、同ソフトウェアが「Parallels Workstation for Mac OS」と称され、「Intel Macが齎す最大の福音」として大きな注目と期待を集めていた開発の初期(Apple純正デュアルブート支援ツール「Boot Camp Beta」が突如としてリリースされ、コンピューター業界が喧騒に包まれていた時期)に、マーケティングマネージャーを務めたBenjamin Rudolph(ベンジャミン・ルドルフ)氏が頻繁に公式ブログを更新しながらスポークスパーソンとしてソフトウェアの周知と機能のプレビューに尽力し、後のMicrosoftへの移籍の道筋を作った事に端を発する。

また、現在Parallelsのエンジニアリングチームを率いるシニアプロダクトマネージャーのKurt Schmucker(カート・シュマッカー)氏は、MacがPowerPCアーキテクチャーの時代にエミュレーター(Virtual PC for Mac)を提供していたConnectixにおいて、プロダクトマーケティングマネージャーを勤めていた人物だ。Connectixはその後にMicrosoftに買収され、同氏がType 2 ハイパーバイザーの「Microsoft Virtual Server」からType 1 ハイパーバイザーの「Microsoft Hyper-V(Windows Server Virtualization、Viridian)」へと至る道筋において、多大な貢献を果たした事も少なからず関係しているであろう。

「WoA(Windows On Arm)」を実行するための認定プラットフォームとして、「Parallels Desktop 18 for Mac」以降が承認される

また、米国時間2024年1月17日には、WoA(Windows On Arm)の「Windows 11 Pro」「Windows 11 Enterprise」を実行するための認定プラットフォームとして、Apple siliconプラットフォームにおける「Parallels Desktop for Mac」を新たに追加し、正式にサポートする旨も発表されている。このような両社の密な関係が、Macユーザーに齎す恩恵は決して少なくはない筈だ。